明治最終列車~明治45年7月29日午前8時。明治という時代が終わろうとしていたとき、新橋ステーションから豪華超特急列車が出発しようとしていました。万感を思いを込めて後世の人はこう呼びます。明治最終列車

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26車輪動く。 ガタン、ガタン、と長く大きく。 27皇居前広場・実景(夜)  咲苗の声「列車が姫路から岡山・糸崎へと向かっている間、東京では明治天皇の病状があらたまり、ひとつの時代が大きく変わろうとしていました」 28資料映像 明治天皇の肖像、皇居前広場に集まった人々の様子などが映し出されて。 咲苗の声「昏睡状態だった明治天皇は、午後10時40分、静かに、その心臓の鼓動を止めたのでした。崩御の時刻として発表されたのは、明治天皇の体温が冷めた7月30日午前零時43分でした。皇居前に集まっていた人々に、明治天皇が伝えられたのは、午前1時40分ごろ、新聞の号外によってでした。東京朝日新聞は報じています。これほどおびただしい人の涙にくるる所は、未だ見たことがないと・・・・・・。しかし、この明治最終列車は、偉大なる時代と偉大なる天皇の死も知らずに、夜の山陽地方を走っていたのです」 29高速で走る汽車(夜) SE 汽笛。大きく。 30 展望車 彩乃「制服向上委員会聞いた事がある。民衆が立ち上がるとき、必ず現れて、歌と踊りで励ます謎の美少女たち」 渚「聞いたことがあります。日比谷の焼き討ちのときにも現れたとか」 みやび「最初は明治23年の佐渡島の動乱、ついで明治30年の飯田の米騒動、最近は明治40年の幌内炭鉱、足尾銅山の暴動にも姿を現したわ」 れいか「構成員は入れ替わりながら続いていて、政府もその正体がつかめないでいる。でも、ここに、その一人がいるわ」 せりな「私、制服向上委員会じゃない!」 と包丁をさくらへ突きつける。 渚「やめて(とせりなの包丁を持った手をおさえる)」 せりな、抗うが。 咲苗「午前4時31分、広島に着きましたよ」 のセリフが終わるとともに、せりな、渚、ともに倒れ、包丁とサンドウィッチが床に投げ出される。
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