明治最終列車~明治45年7月29日午前8時。明治という時代が終わろうとしていたとき、新橋ステーションから豪華超特急列車が出発しようとしていました。万感を思いを込めて後世の人はこう呼びます。明治最終列車

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36 展望車(夜) れいか「(立ち上がって)次にあなたたちを引き渡せる大きな警察署があるのは下関、終点ね。それまで、あなたがたは楽しめばいいわ。この旅を」 といって舞台袖へ下がる。 みやび、追いかけて、下がる。 さくら「(せりなに近づいて)私はあんたに謝らなくちゃならないようだね」 せりな「いいえ、私もアリバイを崩されて、どうかしていたんです」 さくら「制服向上委員会なんだってね」 せりな「いいえ、本当に違うんです。富山で暴れたとき、制服向上委員会が来たという噂があったけど、どうやらガセで」 さくら「そうかい。私は長野の出でね。飯田で米騒動があったとき見にいったんだが、みんなキレイだった」 37 日比谷焼き打ち事件の画像 彩乃の声「あたしも日比谷の焼き討ちのとき歌ってたのを見た。こんな感じで、政府の圧制に立ち上がった民衆へね」 渚の声「私も女衒に連れられて、洲崎の廓に行く途中、日比谷で戦う民衆を見ました。あのとき、この国の民衆の何かが変わったのだと思います」 38 展望車(夜) せりな「誰かに何かをしてもらう国ではなく、自分たちで何かをする国に」 彩乃「渚さん、あんた、なんで、この列車に乗ってるんだい。わけありなんだろ」 渚「私、ある財閥の総帥に身請けされることになりまして。その総帥が身請けの記念に、ポンと切符を三枚くれたんです。汽車の切符と、寝台券と、そみやびら急行券。身請けされたら、私が劣化するまで囲われるわけでしょう。だから、今のうちに遠い所に一人で行ってみたいと・・・・・・おかしいでしょ?色街の女風ではなんだから、街のお嬢さんのような格好でちゃんとしなくちゃいけないってね」
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