8人が本棚に入れています
本棚に追加
9 展望車
彩乃、力任せに郵便袋ごと軍人を、みやびから引き離して、入り口から落とす。
みやび「あなた、ありがとう」
彩乃「いいえ、あたしは連れ合いを日露戦争で戦死させてね。それ以来、軍人なんて見るのもイヤでね」
みやび「藤宮、これ分かる?(と乗車券と寝台券を見せる)こんなに高い切符だもの。下関まで行かせて下さるわよね」
れいか「先ほどの平沼駅は、日清戦争のときできた軍隊専用の短絡線の駅。いわば、軍隊の駅です。ここから先は、鉄道省及び内務省の管轄です」
みやび「レールの上は、本来、何人も往来できる自由の道のはずよ。明治39年に鉄道の大半を国有化してから、この国はおかしくなったわ」
そういって、手に提げた包みからバナナを一切れ、彩乃に差し出す。
みやび「お礼よ」
彩乃「これはどうも(受け取る)」
みやび、さくら、渚、咲苗にも渡す。
最後にれいかへも。
咲苗以外、みんなソファに座ってバナナを食べる。
彩乃「(みやびが食べてるの見て)あんた、お猿さんみたいだね」
みやび「ウキー(怒った振り)」
咲苗「このあと列車国府駅・山北・沼津・静岡・浜松・豊橋と参ります
窓に次々と風景が流れる。
咲苗「この列車は7両編成。機関車・郵便車・二等寝台・二等車両二両・食堂車・一等寝台車・展望車となっておりまして、機関車は2C形過熱テンダ機関車を採用。車両は車体の長さ20メートルのも六輪ボギー車となっております」
そこまで言ったとき、ステージに白いクロスのかかったテーブルが運ばれてきて、ソファの前に置かれる。
咲苗「さあ、お待ちかね。スープから始まって、肉料理・野菜料理のフルコースですよ」
料理が次々と運ばれてくる。
食事と旅を楽しんでいる感じで。
10 浜名湖・実景
11 展望車
彩乃「あっ浜名湖」
12走る汽車
13展望車
みやび「上りの特急とすれ違う」
14東海道線
上り下りの特急列車がすれ違う。
15展望車
この間、れいか、テーブルの上で手帳を開いている。
手帳落ちて、それを渚が拾う。
れいか、どこかへ行ってしまう。
16名古屋駅・ホーム
列車入ってくる。
「名古屋」の標識。
最初のコメントを投稿しよう!