明治最終列車~明治45年7月29日午前8時。明治という時代が終わろうとしていたとき、新橋ステーションから豪華超特急列車が出発しようとしていました。万感を思いを込めて後世の人はこう呼びます。明治最終列車

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24資料映像 3・1事件、5・4事件、米騒動などの画像。 咲苗の声「このときの予想は的中し、数年後、アジアの国々に自由を求めて立ち上がる人々が登場することになるのです」 25 展望車(夜) れいか「(せりなに迫って)さあ早く渡しなさい」 渚「藤宮さん、あなたがつまえる人はその人じゃないでしょう!」 と手帳を開いて見せる。 渚「あなたが本当に追っかけてる人は、(さくらを指差し)塩屋さくらさんです!」 さくら、ドキっとして。 彩乃「(新聞を持ってきて)米暴騰の張本塩屋隠る。米相場買い煽りの張本人、塩屋さくらが世の非難、攻撃に堪えず、遠く台湾差して逃げ延ぶべく、29日下関に向け、東京を発せりという。なお、塩屋は米相場の投機において、商法違反の疑いありて、東京警視庁はこれを追捕せんとしているものなり・・・・・東京市内富士見町の塩屋邸の堂々たる石塀には、塩屋新平民、多くの人に米をやれ、多くの人を悩ませるな」という落書が・・・・・」 さくら「(耳をふさぎ)やめて!」 れいか「さすがに部落出身であることは知られたくなかったわね。米相場で儲けたお金でとりつくろってみても、所詮は・・・・」 さくら「お金儲けが悪いのか!私は部落の出だが、勉学に励み、高等女学校を卒業し、教員資格も取った。でも、地主の娘が多い小学校の教員に採用してくれる市町村はなかった。だから、お金を儲ける事しかできなかったの」 れいか「あなたは裁かれなければならない」 さくら「私は法律上、何も悪い事をしていない。米価の高騰も元はといえば、政府の」 みやび「植民地政策の失敗よ。韓国併合で、日本は朝鮮米の輸入に期待したが、うまくいかなかったのが原因。仮にこの人が投機しなくてもお米は高くなっていたわ」 れいか「・・・・・・・・」 みやび「政府は米価高騰とそれにともなう騒動の責任を、この塩屋さんをスケープゴートにして逃れようとしているの」 とつかつかとさくらの前に立ちはだかる。 みやび「この人を逮捕するなら、私も捕らえなさい。なぜなら、私も米相場に投機していたからです」
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