開発中だったBLアプリゲームの世界に転生したけどこの世界バクってやがる

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それからテオドアと一緒に過ごす事が増えた、と言っても状況打開の手段がないのに攻略キャラに絡みに行くのもだるいので必然的にルームメイトの彼といることが多くなっただけだ。  「レオンってツンデレキャラだよな」  食堂で一緒に昼食をとっているとテオドアがそんな事をのたまった。公共の場でオタ用語使うのに躊躇しないなんてさすがハート強いな、そして攻略キャラにキャラ付けされると無茶苦茶複雑な気持になるんだが。    「お前にデレた覚え全く無いんだけど」  「ふーん、ツンの自覚はあるんだ」  図星を刺されグッと詰まる、オタク同士だからか話も合うし趣味も似ている。興味がある事以外はどうでもいい奴だから一緒に居ても気を遣わない。だけど時々彼の唯我独尊っぷりにキツく当たってしまう自覚があった。 今も話を振っておきながら興味が失せたのかステーキを頬張ってしゃべる気はなさそうだ。こういうところが相手をイラつかせるんだぞとじと目でエビフライを齧った。 すると俺の視線に気づいたのかそっちも美味しそうだなと頓珍漢な事を言うので気儘な猫科の動物を相手にしているみたいで馬鹿らしくなった。  ちょうど俺には量が多かったから餌付け気分で一本やるよと答えればサンキューと言ってフォークに刺さった食べかけのエビフライをぱっくりとやられた。口でけぇ、じゃなくてここ学食なんですけど!人に見られてないか周囲を確認して小声で彼に抗議する。 「人の食べかけを食う奴があるか!」 「細かいこと言うなよ、別に減るもんじゃないだろ」 いやエビフライは確実に減っている。あまりに平然と言われたので男同士だし俺が気にしすぎなのか?でも男同士の方が変じゃないのか?と目を白黒させていたら、堪えきれないと言わんばかりにテオドアが笑った。  コイツ確信犯だ。からかうためにわざとやったな。俺がテオドアにキツく当たるのは嫉妬や劣等感もあるけれど8割は彼のせいだと思う。しかしそんな彼の野放図さに振り回されるのを嫌だと言いきれない自分もいる。 なんだかんだで楽しんでいたんだ、だから車道を逆走したまま走っているような違和感に気づいていたのに目をそらした。
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