開発中だったBLアプリゲームの世界に転生したけどこの世界バクってやがる

6/11
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
あれからクリス、クリスと、テオドアの会話に彼の名前が良く出るようになった。そして昼食や放課後は彼と一緒に居ることが増えた。  好きな人が出来たとしても友人関係が変わるわけじゃない、ただ優先順位が下がるだけ、以前だって一緒にいたりいなかったりとテオドアの気分次第だった。 クリス相手に顔を赤くしたテオドアを見かけても笑ってからかってやればいい。 「眉間のシワ凄いことになってるぞ」 「うるさいなぁ、お前には関係ないだろほっとけよ」 「なぁ……俺なんか気に障ることした?」  最近は俺が不機嫌だとテオドアは気を遣う、気にしてくれる彼にとって理不尽だと分かっているのにそれが無性に腹立たしかった。 「してないし、俺は別に怒ってない」 「おい待てよ」 静止の声を無視して部屋から出ていった。最近はいつもこんな感じで会話すらまともに出来ていない、悪いと思っているのに出会った時のように素直に謝れない、そのくせこのままじゃ友人としてさえ愛想付かされるのでは怯えてる。これじゃあどっちが身勝手の暴君かわからない、いや確実に俺の方か。 廊下を歩いていると覚えのあるコロンの香りがした。テオドアから借りたマフラーと同じ香り、元を辿って視線を向けるとそこにはクリスがいた。男なのになんて睫が長いんだろう、色白で華奢な彼は儚げで庇護欲を掻き立てられる。  不躾な俺の視線に気づいたのか、こちらを見てふわりと微笑む、花が咲いたような可憐な笑みに理由の分からない敗北感を抱いた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!