ヨドの話

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寒さに身をすくめながら進むと、昨日まで草庵にいた男が、松の木に寄りかかるように倒れているのが見えた。 息はしていない。 だが、とても安らかな表情に見える。 ふと、ヨドは思った。 彼を埋めて、見張ってみてはどうか。 そうすれば、ヨドの弔いを阻む物の正体がわかるかもしれない。 ヨドはいつも通り近くに柔らかい土を探した。 すると、近くで草がこする音がした。 ヨドが身を低くしてそちらを見る。 向こうに誰かいるようだ。 忍び足で近くと、影が動き、振り返った少年と目が合った。 ヨドはその奇妙な見た目にギョッとした。 少年は松の葉のように深緑で硬そうな長い髪を後ろで一括りにし、背中に流している。日焼けした小麦色の肌に、墨のように真っ黒な上下に分かれた衣をまとい、両耳には渦のような不思議な形の赤い飾りをぶら下げていた。 ヨドが知っている人間は、皆髪が黒く、麻布で作った淡い黄色の一片の生地を腰のあたりで縛って着ている。 ヨドの姿を確認した少年は強い眼光を緩め、胸を撫で下ろして言った。 「なんだ、犬か」
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