哀しみの閃光

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哀しみの閃光

ユタは、身をかがめている柴犬を見る。 威嚇しているのか、怯えているのか、自分でもよくわかっていない表情だ。 犬はあばらが浮くほど痩せ、土で汚れきっている。 自分が死んだことに気づかず、山を彷徨っているのだろう。 哀れな犬だ。 と、風にのって、甘く饐えた匂いが鼻をかすめる。 屍特有の、周りを引き寄せる強烈な匂いだ。 ユタはそれを頼りにここに来た。
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