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「今日だけは数珠、忘れるなよ」
とFは言うと電話を切った。
私は机の上に置いていた数珠を掴んでジーパンのポケットに捻じ込んだ。
そして麻のジャケットを着て、家を出た。
Fとの待ち合わせは私の家の傍にあるスーパーの駐車場で、駐車場には入れるモノの、まだ営業前で、私はそのスーパーにある自販機で缶コーヒーを買って、Fを待っていた。
案の定、例の先輩の車が駐車場の段差で車の底を擦りながら入って来た。
金かけて改造するのは否定せんが、下品な車は嫌いだ。
そう思ったのはこの時だったと思う。
だから私は未だに車高を落す様な下品な真似はしない。
そう決めたのもこの日だった気がする。
運転席から先輩と助手席からFが下りて来た。
どうやら後部座席には無理矢理連れて来られた関口が乗っている様に見えた。
「あの子らと連絡取れたから、今から、もう一人の子の所行くから」
Fはそう言って自分も自販機で缶コーヒーを買った。
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