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カーナビなど高価でまだ付けている人も少なかったし、今程の性能も無く、近くまでの案内しか信用出来ない時代だった。
Fは後部座席で寝ている関口の横に座り、私がその先輩の横に乗り、何処から持って来たのかわからない地図を見ていた。
先輩の車はショック、いわゆるサスペンションを外しているのか、少しの段差でも大きく跳ねる程に振動が伝わる。
普段、車酔いしない私も少し気分が悪くなる程だった。
そんな車に一時間以上揺られながらその子の家の前に辿り着く。
その豪邸とも呼べる家の門の前に先輩の下品な車を停めて、女子高生の三人が来るのを待った。
朝から真夏日の暑い日だったのを覚えている。
関口が坂の下にあった自販機で缶ジュースを買って来て、私たちに渡す。
「凄い家やなぁ……。俺もこんな家、いつか住めるんやろうか」
などと言っている。
関口も此処まででは無いが、今はかなりデカい家に住んでいる。
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