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彼女たちが行ったというトンネルまで私たちは移動し、そのトンネルの入口に立った。
そのトンネルはバイパスが新しく出来た事で、殆ど使われなくなった街道にあった。
「さあ、お前の仕事や……」
Fはそう言うとTシャツを脱ぎ、脇腹辺りに着いた手形を露わにした。
「此処に戻すつもりで念じながら、手形を摩れ」
そう言うとFはトンネルの入口に酒と塩を撒き、スイカやお菓子、飲み物なんかを供えた。
そして数珠を取るとまた読経を始めた。
私の耳にはトンネルが近付くに連れて耳鳴りが始まり、キンキンと金属音のような音が常にしていた。
「負けるなよ…。気を抜くと押し負ける」
Fの言う事が少しわかるような気がして、私も額に汗を浮かべながら、Fの背中の手形を、数珠を持った手で押す様に摩った。
関口と先輩は少し離れた場所でタバコを吸いながら私たちを見ていた。
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