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「同じ中学の子おるから、訊いてみるわ」
と一人の子が他の子に電話をかけた。
直ぐに住所はわかった。
どうも富裕層の家が集まっているエリアの様だった。
「この場所行ったんいつや」
Fはかなり剣幕で、笑顔の一つもない。
それはその筈だった。
その見せられたレポートの写真には暗いトンネルの中から無数の腕が伸びているのが写っている。
「この写真に何かあんのか」
と関口が私に訊く。
どうやら関口にもそれは見えていないらしい。
「こんなトンネル、屁でも無いやろう。何やったら俺が今から行ってみたろか」
と先輩はタバコを吹かしながら言う。
そんな先輩にFは突然掴み掛った。
「冗談でも、絶対、そんなんするなよな。そんなんしたらマジでシバくからな」
Fの表情は険しく、私でさえ引く程だった。
「わかったわいや……。お前がそこまで言うんやから、ホンマにヤバい所なんやろうし」
先輩は顔を引き攣らせながら言った。
確か、これは私たちが高二の夏の事。
此処から経験した事も無い、怪異に私たちは巻き込まれて行く事になる。
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