第二十七話 定住

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第二十七話 定住

 次の日の朝、 「おはよう」 「おはよう」  喧嘩をしても次の日にはいつもの様に戻る。  三人とも席につき朝食ができるのを待っている。  会話がない空間。  重苦しい。 「りな、言いたい事があるなら言えよ」 「ご飯食べたらね」 「……」  みちさんがリビングに戻ってきて、料理を食卓に並べる。   「さあ、食べましょう」 「「「頂きます」」」  朝食らしいご飯だ。  目玉焼き、ウインナー、ブロッコリーを茹でた物。味噌汁と海苔だ。  俺はマヨネーズ派だが、りなはソース派だ。取り合いにならなくて良いといつも思う。 「うまいっ!」 「うえ〜ん」 「ん?」 「まりもどうした?」 「美味しくなかった?」 「ぐすん、ぐすん。美味しいです。あたし…あたし、自信ありません!」 「「「はぁ?」」」 「何が」  まりもは涙をいっぱいため。味噌汁が塩味になりそうなくらい涙を流している。 「どうした?」 「ぐすん。美味しいご飯作れる自信がないです」 「だから」 「あたしここで修行したいです」 「アホかー!」  まりもまで何を言う。  俺達はこれから旅に出るんだぞ。まあ急ぎではないが、気持ちが揺らぐだろう。 「ご飯は食べれればなんでも良い」 「でも〜」 「試してみたら?」 「良いんですか?」  結局、昼飯までここにいることになった。 「りな」 「何?」 「学校は?」 「休んだ」 「アホ!」  どいつも遊び気分だな。俺はこれからの人生を真剣に考えていると言うのに。  みちさんがりなとまりもを連れて買い物に出掛けた。  俺は自室でどこに行くかスマホでポチポチとしていたが、いつの間にか寝てしまっていた。 『やばっ、もう夕方だ。ん?昼飯食べてない』  俺はリビングに行った。  食卓には冷めた昼ごはんと置き手紙があった。 『何何』  手紙にはこう書いてあった。  お兄ちゃんへ  暫く家を留守にします。  冷蔵庫にある物で食をつないで下さい。もしもお金に困ったら、こちらで働いて下さい。  簡単な手紙の後ろにチラシがある。  そのチラシは探偵事務所のバイト募集の内容が書かれている。  「ペット探し、浮気調査、取り立て等」    ふむふむ 『ここでバイトしろと言うことか』  チラシの下に担当者が書いてある。  担当:八神かいと  連絡先:xx-xxxx-xxxx  なんでも頑張ります。  ……  アホかっ!!  なんで俺が担当なんだ。  これはバイト募集ではなく、仕事募集のチラシでは…  俺はチラシをすかしてみる。  薄らとお仕事募集と書いてある様に見える。  まりもは一体どこに。そして何をするつもりなんだ。  昼ごはんを電子レンジで温めて食べた。 「美味しいなぁ」 『まりもが作ったのか?これから大丈夫だと思うのだが』  誰もいない家にいて妙に寂しさを感じる。  自室の部屋で横になっていると、電話がなってビクッとした。 「もしもし?」 『早くきてちょうだい』 「えっと、どうしましたか?」 『蛇口が壊れて水浸しなのよ』 「はぁ、住所は」  はぁ。  お仕事だ。頑張ろう。  ※  今日は何軒目だ?  これで最後だよな。  本日最後のお仕事は猫探しだった。  猫探しほど難しい仕事はない。 「ももちゃ〜ん。どこ〜」  結局見つからず依頼者に誤りに行くと、自宅に帰ってきたらしく。お金はもらったが、猫は大概は自宅に戻ってくる物だと考えればわかる物だ。  ※  今日でどれくらいだった。  俺は髭を剃るため洗面所に行く。鏡に映った俺は痩せていて、老けた様な気がした。  はぁ。  今日も頑張ろうか。  いつの間にか自分は鬼で学校を追放され、旅に出るのだと言う事も忘れて、探偵業をしていた、  ※  一年後、  探偵業も地に着いて来た今日後のごろ。  ピンポン  ピンポン 「はい、はい」  宅急便かと思い訪問者を液晶越しにみると、みちさん、りな、まりもだった。  俺は無言でセキュリティを解除した。 「ただいま〜」 「おかえりはないの?」 「どこに行っていた?」 「ん?」  三人は顔を見合わせ俯きながら言った。 「ハワイ」 「ん?」 「は、わ、い」  アホー!!!  ⭐︎終わり⭐︎
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