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「あの~。誰かいないっすか~」
暗闇の中から誰かの声がする。正体は不明だけど、こちらの存在は教えておいたほうが良いかもしれない。
「います。ここにいます」
「あー。いるっすねー。っていうかなんでこんなに暗いんすかー。ドッキリっすか? きゃー。一回されて見たかったんすよねー。カメラどこっすか?」
……妙に能天気な返事が返ってきたな。
「あの。たぶん。違うと思いますよ」
さきほど聞こえてきたのとは違う声がおずおずと言う。
「たっはー。ドッキリの、ドッキリって奴っすね!」
「何言ってるんですか……」
「どこかに電気のスイッチないです?」
また別の方向から声がする。衣擦れの音も聞こえてくる。どうやら複数人の人間がいるらしかった。
「ちょっと待ってくれ。これか?」
そんな男性の声が聞こえたかと思うと数秒後に部屋の照明が点灯し部屋の中の様子が視界に飛び込んでくる。
「きゃあああああああああああああ」
すぐ側にいた女の子が悲鳴を上げる。
「なんすか!? なんすか。これ!?」
……それは衝撃の光景だった。部屋の中央に座るような体勢の男の姿があった。
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