プロローグ

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プロローグ

 ザザ、とノイズが走るように、かすかに記憶がよみがえった。 ____あなたなんかいらないのよ! ____役立たず ____本気でやってるの? ____あははははっ、うそ、マジで信じたの!? ウケる~! ____気持ち悪い! ____早く出てって! 「……」  ざあざあと、冷たい雨が降っていた。  土砂降りというほどでもなく、けれど決して小雨ではない雨が、次々と竜の体を滑り落ちる。  竜の腕は震えて動かず、足は力が抜けて立ち上がれず、長時間冷え切った雨にさらされた体からは皮膚感覚が消えて、視界はかすんでいた。  竜はゆっくりとまぶたを閉じた。  目の前が真っ暗になる。  雨の匂いと、土の匂いと、草の匂いが、かすかにした。  遠くで、やまない雨が降り続く音がぼんやりと聞こえた。  だんだん意識が遠のいていく。  竜はひとりぼっちだった。
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