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「……」  正直に答えるべきか、否定するべきか。黒須君の目的がわからないから、ここは慎重にならないとだ。 「答える前にひとつだけ。黒須君、どうして天使を探してるの?」 「それは……」  黒須君は何度か瞬きをしたあと、ゆっくりと口を開いた。 「俺も天使だからだよ。仲間を探してる」  そう聞いた途端、霧が晴れた気がした。だって全てに納得がいったから。黒須君が天使なら、この学校に天使(わたし)がいることを聞かされていたに違いない。  黒須君が「カラコン外そうか?」と言い出したから、もう一ミリも疑わなかった。聖痕のことまで知っているなら、天使確定でいい。  そういえばクロス君だ。名前に十字架が入っていることにも今更気づいた。  ひょっとして、私は名前で気づかれたんだろうか。天野ひかりなんて、よく考えたら名前が天使過ぎる。 「そっか。黒須君、天使なんだね」 「うん。ひかりもだよね?」 「うん。私も天使だよ」  そう答えた途端。  キーンと強い耳鳴りに襲われた。頭も痛い。それに、身体が凍えそうなほどゾクゾクする。  苦しい。これは、何? 「やっとしっぽを出したね」  黒須君──なんだろうか。目の前の顔は確かに黒須君なのに、血のように真っ赤な瞳をしている。 「ずっと探してたんだよね、天使」 「え?」 「一匹殺さないと地獄に帰れないからさ」  最悪だ。まさか、そんなことになるなんて。 「……もしかして。黒須君って……悪魔、なの?」 「うん、ごめんね」
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