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③
貴族の人達は寮にある食堂でご飯を食べている。だけど僕はそこに入ることは出来ないから、厨房の裏口からこっそり食事を分けてもらっている。朝と夜と二回もらえるんだ。だけどお昼は学園の食堂でお金を払わないと食べられない。僕は平民だし孤児だからお金なんて持ってないし、そもそもその食堂にも入っちゃいけない。だからお昼ご飯だけは食べられなかった。それでいつもお腹を空かせていたけど、こんな僕でも朝と夜二回食べられるから平気だ。
なのに最近になって僕の机の上にこうやってサンドイッチが用意されるようになって、僕はお昼もご飯を食べられるようになったんだ! こんな僕にこんなに優しくしてくれる人がいるなんて思わなかった。誰なのかはわからないからお礼も言えない。この学園を卒業するまでにその人を見つけることが僕の目標だ。
「コリン、これは明日までの課題だ。ちゃんとやるように」
「え……こんなに沢山、ですか?」
「はぁ……君は孤児で学もない。人よりかなり遅れているんだ。これくらいやってくれなければ困る。平民のくせにこの学園に通わせてもらえているだけありがたいと思え」
「そうですよね。わかりました! 僕、頑張ります!」
実はこの授業の前にもいっぱい課題を出されたんだけど、普通はこれくらい出来て当然らしい。僕は頭が悪いから課題をこなすのは大変だ。だから毎日頑張っても課題を終わらせることが難しい。でも先生が言う通り平民の僕がこの学園に通えているのは有難いことだから頑張らなきゃいけない。徹夜で頑張ろう。
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