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⑤
手に持っていた課題をそこに置いて体調の悪いその人を立たせる。だけど僕はちびで力もあまりない。でもその人も頑張ってくれて僕にもたれかかるような形で立ち上がってくれた。
「うぐっ……!」
「だ、大丈夫ですか!? 少しだけ我慢してくださいね!」
とりあえず治癒魔法をかけながら医務室へ急がなきゃ。この人の具合がよくなったら課題を取りに戻ろう。今は課題より、この人の体調が心配だ。
「あ、あれ?」
ゆっくり医務室へ行こうと思ったのだけど、その人は僕の背中を押すようにしてずんずんと歩いていく。背もとても高くて足が長いから、僕は駆け足になってしまった。
そのお陰で医務室にはあっという間にたどり着いてしまう。扉を開けて中へ入ると誰もいなかった。とりあえず、具合が悪いのだから早く横にしなければとベッドへと向かって行く。
「わわっ!」
ベッドに着くと僕はその人と一緒に倒れこんでしまった。
「ごめんなさい!」
慌てて体を起こすと、その人と目があった。その人の目は充血していて鼻血も出ていて、とてもじゃないけど健康状態が良いとはいえない。だけどなぜかぞくぞくと寒気がするような視線で僕はちょっと怖くなった。
「えっと、あのっ……そうだ! 名前! 名前はなんていうんですか?」
「……ぐっ! はぁ、はぁ……わ、私の、名前はっ……ディランだっ……」
「ディラン様! ディラン様っていうんですね! えっと、僕はコリンです! もう一度治癒魔法かけますね!」
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