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 ディラン様は名前を言う時もとっても辛そうだった。早くその苦しさをなんとかしてあげたい。そう思って力いっぱい治癒魔法をかけてみるけど、やっぱり僕じゃダメみたいでディラン様の具合が良くなる気配は全くなかった。むしろはぁはぁと息も荒くてより苦しそうにしている。 「どうしよう……僕の治癒魔法なんかじゃダメみたいです。ごめんなさい。今、医務室の先生呼んで来るので待っててください!」  そう言ってその場を離れようとした僕の腕を、ディラン様は掴んできた。 「ダ、ダメだっ……! どこにもいかないでくれっ……!」 「え!? でも、僕の治癒魔法じゃ効かないんです! きっと医務室の先生だったら治せると思います!」 「ダメだ……私はもう、死んでしまうだろう……」 「え!? ダ、ダメです! 弱気になっちゃダメです!」  死んじゃう!? そんなのダメ! きっと他の人が治癒魔法をかけたらよくなるはず! だから早く先生を呼んできたいのにディラン様に強く腕を掴まれていて動くことが出来ない。 「……一つだけ、この病を良くする方法があるんだ。そして、それは君にしか出来ないことだ」 「え!? 本当ですか!? どうすればいいんですか!? 僕が出来る事ならなんでもします!」  僕がそう答えると、ディラン様の目が一瞬きらりと光ったような気がした。 「その方法は……」 「その、方法は……!?」 「その方法は、君の精液を飲むことだ」 「せいえき……」  え。せいえき。せいえきって何? 「あの、ごめんなさいディラン様。僕、頭が悪くて、その、せいえきって何ですか?」
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