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①
「あ。今日も置かれてる」
ここはたくさんの貴族の人達が通うバゼラルド魔法学園。でも僕は一人で教室を使っている。だからこの教室には僕の机と椅子と教壇だけしかない小さな場所。その僕の机の上には今日もバスケットが置かれていた。
朝、僕がここへ来ると必ずそれは置かれていて、誰が置いてくれているのかは全然わからない。
「わぁ~、今日もすごく美味しそう!」
中を覗けば卵やお肉やお野菜がいっぱい詰まったサンドイッチだった。なんとそれが四つも入ってる。
これは二か月前くらいから置かれるようになった。初めてサンドイッチが置かれていた日、僕はどうしていいかわからず食べずにそのままにしておいた。すると翌日、サンドイッチと共に『コリンへ。食べなさい』という手紙が入っていた。
それから僕はありがたくこのサンドイッチを食べるようにしている。
僕はコリン。平民で姓はない。なのに貴族の人達が通う魔法学園に通わせてもらっている。その理由は僕が治癒魔法を使えるから。
僕は赤ちゃんの時に孤児院の前に置かれていたらしく、それからずっと孤児院で育てられた。
僕は小さな頃から自分で怪我を治すことが出来たんだけど、院長先生が凄く怖い人で、僕が怪我を治せるなんて知られたら気持ち悪がられて捨てられるかもって思ってずっと黙ってたんだ。
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