落ちこぼれ君と最弱君

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カツカツと石畳を鳴らして靴音が近づき目の前で止まる。 項垂れて膝をつく青年の上に影が落ちた。 「お前には、がっかりだ。ギル」 「親父……」 恐る恐る影を見上げる。冷え切った目がこちらを見据えていた。 ああ、またこの目だ。 失望と、侮蔑を湛えた目の色。 「どの面を下げて父と呼ぶ。お前のような落ちこぼれは、イグニス家の面汚しだ」 「……っ!」 「目障りだ。この場から今すぐ消え失せろ」 そう言い放つと男はマントを翻し供のものを連れて、背中を向けて去っていった。 ギルと呼ばれた青年は、俯き膝の上で拳を固く握りしめた。 遠巻きに眺める人々は互いに囁き合うだけで声をかけるものは誰もいなかった。
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