裕義より香絵へ

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裕義より香絵へ

なぁ、香絵 もうそんなに泣くな せっかくの可愛い顔がぱんぱんになるぞ わかってるよ お前がどれほど俺を愛してくれていたのか、誰よりもわかってる そんなお前に、俺が一番、伝えたいことはわかるか? 『香絵と夫婦になれて俺は世界中の誰よりも幸せだった』 ということだ そして今も幸せなんだ だから もう泣くな 見えなくても 聞こえなくても 俺はお前のそばにいる 風になったり光になったり 道端の花になったり 流れてくる音楽になったり すれ違う猫になる時もあるさ そうやって ずっと見守ってるから 安心しろ そして しっかり生きるんだぞ 俺が見たかったもの やりたかったこと 行きたかった場所……全部 これからの香絵の人生で叶えてほしい それらの思い出をたくさん抱えて 次に会った時 いつものように 少し早口でしゃべってくれ また出会えるさ ほら、いつか話しただろ? メビウスの輪 裏と表がいつのまにかつながってるやつ きっと 香絵と俺はまた そうやって出会えるさ 俺と香絵は終わりじゃない また会えるよ ーー-完ーーー
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