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「あらま。気持ち悪いって失礼なっ。せめて“ごめんなさい”くらいは、言って欲しかったわね」
クレヨンを抱きしめたままのモヤシっ子は、じっと私を見ている。
「ね、君の名前は?」
「えっと……僕?ヒロ君」
「そっか、ヒロ君ね。どこか怪我してない?」
「うん、大丈夫。あのさ、クマさんの名前は?」
「え?クマ?」
訊かれた意味がわからなかったけれど、
壁に立てかけてあった薄汚れた鉄板に映る自分の姿を見て、あっ!と驚いた。どこからどう見てもクマだった。正確には茶色のクマのぬいぐるみで、園児が持っていそうな黄色のショルダーバッグを肩にかけていた。
「えーっ!どういうこと?」
わけがわからないまま、ショルダーバッグを探ると、何か出てきた。
「あー、もしかして……」
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