離別

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離別

夫が死んだ もう何年も完治が難しい病を抱えていたから、いつかはそうなるかもしれないと心のどこかでは、わかっていた ……………つもりだった でもまさかそんな 今じゃない 今じゃないよ、裕義(ひろよし) 起きてよ 置いていかないで ひとりにしないで 泣き叫びすぎて声にならない声で呼び続けるのに 揺さぶっても頬ずりしても もう動かない 呼吸することをやめてしまった裕義の体は徐々に温もりが薄れていき、からただのになっていく感覚がした _____あぁ……裕義が死んでしまった 「香絵(かえ)は可愛いな」と その大きな手で、頭をぽんぽんしてくれることも 大きな体ですっぽりと私を抱きしめてくれることも もうないんだ、決して 誰からも許されない恋におちて、家族も仕事も何もかもを捨てて、知ってる人がいない遠くに二人で逃げたのは17年前 そう、たった17年だった 私より14歳年上で 享年51歳 裕義は私を遺して逝ってしまった 外は冷たい風が吹く冬の始まりだった  
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