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「なぜ、父が死ななければならなかった!王女、君は僕の父親を気に入ってくれてたんじゃなかったのか!」
僕は唐突に王女に問い質した。
「きゅ、急にどうした。何の話だ?」
王女は急な詰問に狼狽していたが、僕は気にしなかった。
「僕は今こんな姿をしているが、元々は人間だったんだ。君は数ヶ月前に、僕の父親を雇った記憶はないか?」
「残念だが、そんな記憶は」
「あの腹踊りの男だ!」
王女は何かを思い出したかのように、口を押えた。
「あ!エイブラハムのことか!」
「覚えてるじゃないか。君が芸人として雇っただろ」
「ああ、でもあの芸しかなかったから、クビにしたんだ」
「なんだって?」
「その後は知らない。我には関係の無い話だ」
「それでも王女か!雇ったのは君だろう!」
「はあ、、これだから庶民は。雇ったのは私だからこそ、クビにしていいのも私の権利だろう。私の期待に応えられなかったエイブラハムが悪い。最初は面白かったんだが。エイブラハムはその芸ばかりして努力しなかったんだ」
僕は何も言えなかった。僕の父親が死んだのは彼女のせいじゃない。むしろ彼女は父を雇い、そして贅沢な暮らしをさせてくれた恩人だったのだ。
「済まない。僕が悪かった。何も知らないで君のことを責めて、本当にすみませんでした」
「フッ、我が散々民衆からワガママ王女だのじゃじゃ馬王女だの言われてるのは知っておる。別に一人の民から言われるくらいどうって事ない。それに、君も被害者なんだろう。我も悪いさ」
「だが!我の名はエリザベス。君というのは辞めてくれ」
「分かった。エリザベス様」
「様はいらんよ。もう私は王じゃない」
「父は、芸人なのに戦場に行かされたんだ。その事さえもエリザベスは知らなかったのか?」
「ああ、そうさ。我には、そなたの父の処遇など聞いてはおらぬ。済まない」
「いや、もういいんだ。エリザベスが悪い人では無いことがよくわかったよ」
「そうか、、なら我を解放して、第二王女エマニュエル・ルービンシュタインに会わせてくれないだろうか?」
僕は、恩人の彼女を人質にする必要は無い。解放するべきだった。
「ああ、わかった。エリザベスの好きな通りにしてくれ」
「理解来てくれて嬉しいぞ」
僕は、エリザベスが予め第二王女のエマニュエルから聞いていた場所を案内し、そこへ向かった。
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