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 オレはどうにかして、大虐殺という暴挙を止める事に成功した。しかしチャット越しとは言え、非科学的な連中と関わることは、かなり消耗させられた。  しかし、ここで終わりではない。まだまだ奴らの戯言に付き合う必要があった。 ピロリ。 ――私メリーさん。終電を逃したけど、これから貴方の家に行くの。 ――たはは。お兄さんに怒られちゃいましたね。 ――まさかニンゲン如きに説教される日が来るとは。斬新。 ――それよりもさ、2人とも。もう電車がないからタクシーに乗りたいんだけど。 ――ふむふむ。もしや、気にされているのは予算でしょうか? ――そうなの。タクシーってね、電車よりずっと小さいのに、お金はたっくさん必要なの。変だよね。 ――と言う切実な事情です! キールさん、大変恐縮ですが、有り金を全部貸してください! ――急に言われても困る。私は7百円しかない。 ――私は2百円かな。ウガちゃんは? ――面目ない。一銭も持ち合わせておらず。 ――うぅん。合わせて千円もいかないよ。心もとないなぁ。 ――ではメリーちゃん。ここは応援を呼びましょう。路銀はお友達に借りればよいのです! ――ホント? 助かるなぁ、さすがはウガちゃんだね! ――ではご登場いただきましょう! 貧乏神のボーエンちゃんです! ――どもども。ボーエンと申しますッス。マジよろッス。 ――あのね、いきなりで悪いんだけど、お金貸してくれない? ――お安い御用ッス。2千円ほど持ってきたんで、役に立てて欲しいッス。 ――凄い凄い! これだけあれば、生田まで行けると思うよ! ――そんじゃあタクシー拾って来るんで、皆さんのお金もアタシが預かるッス。 ――うんうん、ありがとうボーエンちゃん。お願いね。 ――では、ちょっくら行ってくるッス。 ――駆け足速いなぁ。もうあんな所に? ――ふふっ。ボーエンちゃんは気さくで良い子ですから。張り切ってるみたいですね。 ――みなさぁん。お待たせしましたッス〜〜。 ――早かったね。タクシーは見つかったの? ――大通りに出ようとしたら、その途中でチキン屋を見つけて。そしたら大セールやってるらしくって。 ――言われてみれば、香ばしい匂いがするよね。ちょっぴり気になってたんだぁ。 ――だから奮発して買っちゃったんスよ。税込みで2千8百円もしたんスけど、お陰でこんなに沢山買えたッスよ! ――わぁぁ美味しそう! ちょうど小腹が減ってたんだ、皆で食べようよ! ――さすがはボーエンさん、抜け目ないですね! コレはとてつもなくオトクなセットですよ! ――鳥さんは私も好き。食べる。鳥さんは死して美味しいお肉になるのに。それに引き換え、ニンゲンどもと来たら。 ――まぁまぁキールちゃん。今は細かいこと忘れて、美味しく食べましょうよ。 ――いやはや、マジ旨ッスねコレ。こんな料理を考えついちゃうなんて。これだからニンゲン界に降りるのは止められないんスよね!  オレは、雪崩のように届くチャットを見ては、唖然とした。本題はどうしたのかと。目的を忘れんなと、ついつい打ち込みそうになる。  だが、オレが口を挟むより先に、新たなメッセージが届いた。 ピロリ。 ――私メリーさん。唐木田まで迎えに来てください。お金は全部使っちゃいました。  親御さん、唐木田! 今回は大所帯ですよ! ー完ー
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