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目覚めし力が敵を討つ
「……え?」
アレンの周りには倒れ伏したゴブリンの山があった。口を大きく開けてアレンは周りを見回している。彼には何が起こったのかはわからないだろう。魔法の力で風が操作されたことも、繊細な操作によりアレンを避けゴブリンだけを貫いたということも。
じっとアレンは墓の上を見る。土埃のついたその眉が、怪訝そうに寄せられた。
気づかれたか?
強い魔法の流れから、直感的にこちらの気配を察知したのか?
しばらくアレンは俺の方向へと視線を注いだ。しかし横風が通り過ぎると、顔を逸らした。
どうやら気のせいだったらしい。
まあそれもそうか。幽霊は魔力の塊で、近くするには強い魔力の才能が必要だ。俺の見立てでは、魔法の才能もアレンにはない。というか冒険者として必要な能力が見受けられない。
アレンはというと、なおも不審に思うのか、いきなり倒されたゴブリンを注意深く見守っている。
そして、口の端をニヤリとあげた。
「ふ。ふふふ」
いきなり笑い出した。
え、なに。気持ちわるい。
一体何がそんなにおかしいのか、不気味に思いゆっくりと近づき、顔を覗き込もうとした。するとアレンはおもむろに空を見上げた。
「これが、俺の力……!」
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