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「冷たい手だねぇ。やっぱり繋ごうか」
それからはお互いの指を絡めて港を再び散策する。学生同士の恋愛みたいなデートをこの歳になってできるとは思わなかった。こういう健全なお付き合いも悪くない。そう思った矢先、
「部屋、空いてるかなぁ」
「部屋?」
「一部屋くらい空いてそうじゃない?」
そう言ってホテルを指差す。
「誰が泊まるって言いました!?」
「そういう流れじゃないの?」
着替えもなければメイク道具も何もないのに、無計画にもほどがある。足を止めた槙田先生は真剣な眼差しでわたしを見下ろした。
「な、なに」
「ジャン! ケン!」
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