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 さあ、今度は何を言われるかと身構えたら、槙田先生は存外にあっさりとわたしの言うことを認めた。 「――そりゃそうだ。俺も問題がある」  わたしの腕をすり抜けて、すたすたと歩いていく。いきなり試合を放棄されたようで拍子抜けした。これ以上何も言う気配のない槙田先生の背中に、またしても自分から問いかける。 「お、終わりですか?」 「え? 終わりだよ。これ以上言い争ってもお互いムカつくだけでしょ。俺もきみも人間的に問題がある。それでいいじゃない」  大きくひとくくりにして一緒にしないで欲しい。ものすごく後味の悪い終わり方だが、槙田先生の言う通り、これ以上嫌な気分になりたくない。切り替えて病棟に行かなければと踵を返したところ、 「あ、手術は断っていいからね。他にも先生はいるし」  と、皮肉たっぷりに投げ掛けてきたので、 「断りません!!」  叫んだわたしの声は廊下に響き渡る。槙田先生は無視して去っていくが、ほくそ笑んでいることだろう。本当に嫌な男だ。
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