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「槙田先生、本当はまた手術できるようになりたいんですよね。内科に転科するわけでも医師を辞めるわけでもなく外科医であり続けるってことは、いつかまた手術をしたいからじゃないんですか?」  槙田先生の手を握る。いつも温かいのにとても冷たい。 「皐月さんとのことも、イップスになったきっかけも、全然些細なことじゃないです。誰だって傷付くし、動揺します。そんな中でも手術をやりきったあなたはえらい。槙田先生ならイップスも高坂さんも治せます」  それでも槙田先生は首を横に振る。駄々をこねる子どものような姿が、どうしてか愛おしい。 「わたしと一緒に治しましょう。ね!」 「……できるのかな……」 「できます」  口で言うほど簡単なことじゃないのは重々承知だ。だが、槙田先生がわたしの言うことを否定しないのは、前に進みたい気持ちがあるからだ。少しだけわたしの手を握り返してくる。わたしがいますから、と付け足すと、槙田先生はようやく少し笑った。
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