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その後、何件かのスーパーに寄ったが冷やし中華はどこにも売っておらず、最終的にいつものうどん屋で済ませることになった。
食事のあとは当たり前のように楓子ちゃんのマンションに帰り、久しぶりに年甲斐もなく、獣並みに盛り上がったのだった。風呂に入ってから、と焦らす彼女を丸め込んでリビングで、そのあとベッドで。就寝するつもりだったのに触り合ううちに二回戦に入った。機能していなかった頃を取り戻すかのような性欲に自分が引くくらいだ。
楓子ちゃんは色んな顔を持っていると思う。気が強くて生意気だったり、子どものまま大人になったような純粋さがあったり。こういう時はひたすらエロい。俺がやることなすことにいちいち敏感で、それがまた大袈裟とかわざとらしいとかもなく、男が喜ぶ反応を心得ているというか、いつも新鮮に感じてくれる姿が魅力的なのだ。
いつまでも純潔を守る乙女みたいな初々しさはない。少しの恥じらいと俺と同じように欲を見せてくれるから、こちらも遠慮なく期待に応えたくなる。
シャンプーなのかボディクリームなのか、ほのかにシトラスの香りを残す肌に手を滑らすと、それを追うように身体をしならせる。彼女の身体はほぼほぼ攻略しているつもりだが、我も忘れるほど溺れると新しい発見があって、それも面白い。
向かい合って膝の上にいざなうと、楓子ちゃんは腰が抜けそう、と洩らして、俺の首に両腕を巻き付けた。汗ばんだ皮膚と皮膚がぴったりとくっつく。楓子ちゃんは俺の短髪に指を絡めて撫で回し、俺が弱点を攻める度に髪の毛を強く握った。
「ねえ、髪の毛抜けたらどうしてくれんの?」
「……植毛すればいいじゃない」
なんて朦朧としながら真面目に返すので、可笑しすぎてまた笑えた。
本当に憎たらしくて頼もしい、可愛い恋人である。
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