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「まあ、普段何やってんのか分からないって思ってるのは福沢さんに限らないですけどね。そう思われたくなかったら……」  手術に入ればいいじゃないですか、と言おうとして飲み込んだ。研修室のシミュレーターで練習をしている槙田先生の姿を思い出したからだ。言い淀んだわたしを槙田先生が訝しむ。 「思われたくなかったら?」 「なんでもないデス」 「変なの」  研修室で見た槙田先生は一体なんだったのか聞いてみたい。手術をしていたのに、今はしないのはなぜ? もしかして離婚したことと関係がある?  けれども聞いてはいけない気もする。怒らせるんじゃないか、傷付けるんじゃないか。そうやって一人で逡巡してハッと我に返った。  これは別に槙田先生のことを知りたいというわけではない。槙田先生が手術に入れるようになったら仕事が楽になるから。  そう、自分と院のために!   立ち去ったと思っていた槙田先生はまだそこにいて、珍妙な眼でわたしを見ていた。 「一人で百面相してる人、初めて見た」 「やだ、見ないで下さいよ。何か用ですか?」 「今日は夕方オペないよね。夜、空いてる?」 「ええ?」  「いや、デートとかじゃないから。仕事の話したいだけ」 「救急がなければ」 「じゃあ、空けといて。うどん行く?」  仕事の話ならわざわざ外に出なくても医局でいいのでは、という疑問をぶつけたら、槙田先生は「そうだよね」と顎に指を添えた。 「じゃあ、やっぱりデートってことで」 「うどん屋で?」 「リクエストあんの?」  それならば、とわたしが希望したのは、
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