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1話 ブラックホールのもりびと
あるうちゅうのあるところに、ひとつのブラックホールがありました。
ブラックホールは食いしんぼう。
うちゅうのちりやガス、星や光、なんでものみこんでしまいます。
そんなブラックホールがおなかをこわさないようにみまもるのが、「ブラックホールのもりびと」です。
今日のおとうばんは黒ねこのミィさんと、からすのクロさんです。
「この星はとってもきれいなだいだい色だ」
「これはきっとおいしいね」
ミィさんとクロさんはうなずきあい、その星をブラックホールの口にいれます。
星が見えなくなりますと、おくから、からからとうれしそうなわらい声がきこえます。
「おいしかったみたいだね」
ふたりはにこにこ。
と、クロさんがその青いひとみを丸くします。
「ミィくん、あれはなんだろう?」
「どれだい?」
「あのしかくいものさ」
ミィさんは金色の目でとおくをみます。
うちゅうのむこうからやってきたのは、クロさんの言うとおり四角いものです。
でも、それだけじゃありません。
それはぎん色でちくちくしています。
あんなものを食べてしまったら、おなかがいたくなってしまうでしょう。
「あれはよくないね」
「たいへん、たいへん。わたしたちがブラックホールくんをまもらなきゃ」
ミィさんはポシェットから出したぶあつい手ぶくろを前足に、クロさんはその羽におおきなうちわをつけました。
ちくちくがブラックホールの前へやってきました。
「いっせーのーで!」
ふたりは声をあわせて、ちくちくに立ちむかいます。
ミィさんは前足でちくちくをぎゅうぎゅう。
とくべつな手ぶくろはとげみたいなちくちくだってへっちゃら。
クロさんは羽でちくちくをびゅうびゅう。
うちわもいっしょにぱたぱだびょうびょう。
「うんしょ、よいしょ!」
「もうちょっと!」
ちくちくのうごきがだんだんとゆっくり、ゆっくり。
「今だ!」
ふたりの声がかさなって。
ぎゅうぎゅう!
びゅうびゅう!
すると、ちくちくはとおくのほうへぴゅーん!
あっという間に見えなくなりました。
「やったね」
ふたりは手をとりあってよろこびます。
くるくる、にこにこ。
おや、なんだかブラックホールがむずむずとしています。
その口からぽんっと出てきたのは、金の星と青の星。
ふたりのひとみと同じ色です。
きっとブラックホールからのおくりものでしょう。
ふたりはびっくりしましたが、おれいをいって、その星をうけとりました。
金の星と青の星。
ひとりひとつとはきめたけれど、ふたりはとってもなやんでいます。
「どちらもきれいだね」
「うん。ミィくんはどちらがいい?」
「どちらもきれいでこまっているよ」
「わたしもそうなんだ」
ミィさんとクロさんはなやんでなやんで、もうすこしゆっくりなやむことにしました。
これは楽しいなやみごと。
ふたりはわくわくします。
「おとうばんがおわったら、レストランにいこう」
「そうだね。ゆっくりお話ししよう」
おや、むこうからやってきたのは?
どうやらつぎのおとうばんさんです。
「じゃあ、またあとで」
「またあとで」
ふたりはいちど、自分のおうちに帰りました。
ミィさんとクロさんがむかうレストランとはどんなところなのでしょうか?
それはまた、つぎのお話。
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