2人が本棚に入れています
本棚に追加
大学を卒業後、僕と梓さんはウエディングフォトを撮った。梓さんはぼろぼろに泣いてメイクが崩れてしまっているけど、写真の中で微笑む梓さんは世界一綺麗だ。
その後すぐに梓さんは消えた。手紙だけ残して、家から出ていってしまった。
行先はわからない。この関係が歪み狂っていることなどとっくに承知していたから、僕も追いかけるなんて野暮なことはしなかった。きっと梓さんはそれを望んでいないから。
「お父さん」
「ん?」
「お父さんにお父さんとお母さんはいるの?」
「ああ、いるよ。とても優しいお父さんとお母さんと、それからとても綺麗なお母さんがね」
fin.
最初のコメントを投稿しよう!