世界で一番綺麗な愛

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 大学を卒業後、僕と梓さんはウエディングフォトを撮った。梓さんはぼろぼろに泣いてメイクが崩れてしまっているけど、写真の中で微笑む梓さんは世界一綺麗だ。  その後すぐに梓さんは消えた。手紙だけ残して、家から出ていってしまった。  行先はわからない。この関係が歪み狂っていることなどとっくに承知していたから、僕も追いかけるなんて野暮なことはしなかった。きっと梓さんはそれを望んでいないから。 「お父さん」 「ん?」 「お父さんにお父さんとお母さんはいるの?」 「ああ、いるよ。とても優しいお父さんとお母さんと、それからとても綺麗なお母さんがね」 fin.
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