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*プロローグ
「清田くん、また百点だね。素晴らしい」
「薫くんって、睫毛も長くて色も白くてお人形みたい。あたし達よりきれいだよね」
「清田って何でも買ってもらえるんだろ? 持ってないゲームとかないんじゃない? すげぇよな」
子どもの頃から僕は自分が恵まれた環境にあることや有能さがある自覚もあり、割と周りにちやほやされてきた方だ。
羨望と憧れと時々妬みの混じった眼差しを浴びることが多かったけれど、ちやほやされるままに誰にでも愛想よくはしては来なかった。
僕には幼い頃からの信条とも言えるような事柄があって、それに基づいて付き合う人間を判別していたのだ。
僕の信条、それは『においから嗅ぎとった第一印象は揺るがない』ということ。
例えば、人好きのするような感じと思える人はたいてい穏やかなやさしいにおいをまとっていて実際接すると良い人だし、逆に近寄りがたい人はまとうにおいもきつくて感じが良くないことが多い。だから付き合いのある極少数のやつらはみんな僕好みというか性に合いそうなナチュラルなにおいをまとう人が多い。そのどれもが僕の実体験から来ている。
現に僕の苦手とする人工的なにおいのする香水や化粧品を好んで頻繁に使用する両親とは仲が良くない。――まあ、それだけが原因じゃないのだけれども。
なんでそんなことが可能なのか? 答えは簡単で、僕は人よりも嗅覚が鋭いからだ。以前流行った漫画のキャラクターほどではないけれど、嗅ぎとったにおいから受ける印象と実際の印象が違うことはほとんどない。
だから僕は自分の嗅覚を信じているし、そこから来る相手の第一印象も相性の良さも疑わない。嗅ぎとった印象を頼みにしていけば間違いがないとさえ思っていた。
――でも、それが彼に出会ったことで覆されることになるなんて。
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