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さて、もう9時半になりますねぇ。いやぁ、先生方、どうにかしてくだせぇ。なんか空気悪いんですよ〜。ギスギスしてるんですよ。なんでなんすかねぇ。本当に。
「もう9時半か。では、今ここに居る、違和感を感じているやつには話をしようか」
ようやくこの空気から解放される…。
「そうだな…生きとし生けるもの全てに共通することだが、気力、というものを持っている」
「「は?」」
俺が感じるものの正体は、気力っていうんだな。初めて知った。
「まぁ、疑問に思うのは分かるが、まず話は全て聞け。私たちは講堂では気力の気配を消していた。それが違和感の正体だろう。以上だ」
「青田教官、それでは通じないだろぃ?前提が違うだろぃ。すまぬな、こいつは説明下手でな。許してやってくれぃ」
「誰が説明下手だ、二戸」
「生徒の前では取り繕えと言っただろがぃ」
「………」
「青田教官はしばらくそのまま黙っとけぃ」
「ふむ。なら、私から説明させていただこうかの」
ダンディ来た〜!
「では頼んだのだぃ、三戸教官」
三戸ティーチャーか。
「まず、生きとし生けるもの全てが気力というものを持っていてな」
「それは説明しただろ」
「青田教官は黙っとけぃと言っただろがぃ」
「あーー、御二方?しばし私が説明するので口を閉ざしていてくれないかな?」
ダンディに言われてるんだ!さっさと黙れ!
「それと…そこの岸本と言ったか?失礼なことは考えないように」
「えっ?」
「まぁこれは一部の人にしか発現することはないのじゃが、特殊能力というものもある。私は『読心術』と『直感』などが含まれる『天八意思兼命』という特殊能力を持っているな。これで貴殿の考えていることが分かったという訳だ。以後は口?を慎むように」
ダンディさんに言われるなら喜んで!
「はい、分かりました!」
「なら良いのだが…。おっと、話が逸れてしまったのぅ。この気力、というのは人それぞれ性質が違う」
それは分かる。人によって感じが違うからな。
「で、その性質の違いによって特殊能力が発現するか、しないかが分かるんじゃよ。まぁこの学校含め、特殊課に来た生徒には悪いのだが、特殊能力が発現するものはこちらから大学受験で落とすように取り計らい、集めているんじゃ」
「なぜ…」
1人の女子生徒がついついという感じでつぶやいた。
「良い質問じゃな。それは、制御を知らないと危険だからのぅ。ここで制御を学ばないうちに、いつのまにか特殊能力が発現していて、人が死ぬ事故があるからの。例えば…『身代わり』という特殊能力を発現させたものがいたのだが…事故にあい、死ぬはずだったその人は、意図せぬ間に他人を身代わりにしてしまったんじゃ。そういうことがあるから、じゃな」
「ありがとうございます」
「うむ。疑問に思うのは当然だからな。それに、無理矢理ここに来させられたんだ。当然知る権利がある。で、だが…ここに集まったものは違和感を感じている。少なくとも気力の感知が周りの人より長けておる。だから気力に関する学習のカリキュラムを少し早めてするんだよ」
へぇ〜。そーなんだ〜。
「なので君たちの授業クラスは男子寮1階の応接室となっておる。女子生徒も一緒になるぞ。担当教官は本田先生だ」
…誰それ?
「若いイケメンの先生だ」
あぁ、あの人か。…心読まれたな。
「はっはっは」
そういえば…特殊能力ってなんなんだろう?
「ふむ…特殊能力についての説明をしようか。さっき言った通り、気力の性質から特殊能力が発現する人と発現しない人が居る。そしてその特殊能力もまちまち…まぁ、同じ能力や似た能力というのは存在する」
固有のって訳じゃないんだ。
「でも一部の人たちには固有の特殊能力というものがある。それは、常に発動し続けるんだ。私の特殊能力はそれに当たる」
それは…どれほど辛いのだろうか。計り知れない。
「固有ではないものは気力と引き換えに一時的にその効果を発揮させることができる」
なるほど…。
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