皇の一族

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「…“戸”の一族ってどのくらいあるんだ?」 「3つですね」 「少な!」 「たまたま名字の2文字目が“戸”っていう人はいますけどね」 「小戸と、二戸と、三戸だけか?」 「はい、そうです。昔はもっとあったらしいんですけどね」  今更だけど… 「ミニはなんでそんなに知っているんだ?」 「“戸”の一族なら、多分誰でも知ってますよ。そういう教育方針なので」 「…戸落ちってのはなんなんだ?」 「受け継がれなかった人たちです」 「なるほど、俺は戸落ちの人間の曾孫なんだな」 「それは違うよぃ」  あっ、そういえばおっさんも居たんだった。 「戸谷は特別でねぃ、“戸”の一族なんだよぃ」 「戸落ちだと思うんですけど…どうしてなんですか?」  確かにそれは気になる。 「色々あったんだけどねぃ。もうそれは誰も知らないよぃ。知っているとしたらそこの岸本くんのお婆様くらいだろうねぃ。もう、歴史からは葬り去られているよぃ。だから、本当に誰も知らないだろうねぃ」 「教官も知らない…んデスカ?」 「知らないねぃ」  それなら知らなくても良いかな。 「皇、というのは?」 「“戸”の一族であり、かつ『星詠み』を持っていた人の一族でした」 「でした?」 「戸谷とかの色々あった件で滅んだみたいだねぃ」 「ということは…俺は唯一皇の血を持つのか…」 「そうなのかぃ?」 「ハイ。おばあちゃんも、お母さんも、俺も、ひとりっ子デスから」 「…完全に“戸”の一族だねぃ」 「優も“戸”の一族でしたね」 「そうなる…のか?」  へぇ〜。じゃあ気力は多い方なのかな? 「さて、ねぃ……色々話が脱線したけどねぃ…ここに集まってもらったのは、今後についてだよぃ」 「「あっ」」  完全に忘れてたよ。応接室に集まった目的。 「もうすぐ日付も変わるから手早く終わらせようかぃ。君たちは気力に関する授業内容は厳しくなるぞぃ、喜べぃ!」 「「………え?」」 「授業は女子寮応接室でするよぃ。君たち2人と女子は…3人らしいよぃ。今年は多いねぃ。じゃ、解散だ。早く寝なよぃ」  あっ……あっちゅう間に行っちゃった。 「…どうします?」 「とりあえず部屋に戻るか…」
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