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授業開始のベルが鳴る
「優、起きてください」
「……お母さん」
「何寝ぼけているんですか!?」
「ん、お母さん…」
「お母さんじゃ無いです!」
ミニともだいぶ打ち解けあって、軽い会話も話すようになってきたこの日頃。遂に、恐れていた“あれ”が来た。
「今日から授業始まるんですから…」
「お、お父さん!」
「僕はあなたの両親じゃ無いですって!ともかく、朝ご飯は作っておきましたから早く食べましょう」
「分かった。で、持ち物って何持っていけば良いんだっけ?」
「筆記用具だけです」
「オッケー」
じゃあ飯を食おうか!
「「いただきます!」」
……あれ?
「なんで朝ごはんがここに?」
「僕が作ったからです」
「へぇ〜、そうなん…って、なるかぁ!」
「事情があって、皆さんが来る前からここに居たので、材料があったんですよ」
「へぇ〜。ところで、俺たちが来る前から居たのは“戸”であることと関係が?」
「えぇ、そうです。ここが特殊課第一研究所だということは覚えていますか?」
「そういえばそういう名前だったかもしれないかもなぁ」
「つまり覚えていないんですね。まあ名前の通り、ここでは研究をしているんです。色々研究しているんですが、そのうちの一つが、“戸”の血の謎」
「それでお前が……」
「僕だけじゃ無いですよ?今日一緒に授業を受ける女子たちも“戸”の一族です」
「そうなんだ……ま、ご馳走様。ミニの皿も渡してくれ。洗って置いとけば良いか?」
「お願いします」
作ってもらった手前、口には出さないが、ミニの飯はとんでもなく不味かった。
「美味しそうに食べてもらえて良かったですよ。なにせ、人に振る舞うのは初めてですから」
「ミニ……次から俺が料理するから」
「えっ、ちょっ、なんでですか!?」
「美味しくなかったから」
のちの話によると、ミニはかなりショックを受けたらしい。
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