緊急事態…発生?

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 バスの中で、寮についての説明は一通り受けた。  当たり前だが、男子棟と女子棟があり、もちろん女子棟に行く。えっ、もちろん冗談だが?ただ、今まで顔が中性的だと言われることが多々あって、ボケてみただけだ。その内に、忍び込む予定ではあるが。  まず、全6階建で、各階中央付近にトイレがあり、大のやつが2つ、小のやつが1つだ。階段は中央と両端らしい。食堂と大浴場は地下一階だが、キッチンもシャワー室も2階から6階の各部屋にある。そして、一階には寮長の部屋と、応接室、その他諸々(もろもろ)普段俺たちが使うことの無い部屋が揃っていた。  ちなみに、男子は200人、女子は120人となっている。お分かりだろうか?単純計算でも1人の男が80人も出る。競争の激化が、予想されそうです。わーい。男子校出身を、舐めるなよ!クソッ!  さて、食堂で部屋割りが発表されるらしく、食堂へと向かったのだが、中もボロボロ…ということはなく、フローリングも壁も、壁に掛かっている絵を選ぶセンスも中々で、綺麗だった。廃墟に偽装してたのか、廃墟を改装したのか…。  とにかく、ここで部屋割りが発表されれば、ひとまず、自分の部屋へ行き、1時間ほどの自由時間の後に、食堂で遅めの夕食となる。もう午後8時だよ!腹減ったよ!多分不健康だよ!  風呂に関しては、夕食後になるらしいが、あのおっさんが言うには、遅いので自室のシャワー室で済ませろ、とのこと。おっと。ちゃんと聞いておこう。 「———ということだ」  どういうことだよ! 「では、ここに部屋割りを記した紙を貼っておくので、これを見て、各自、各部屋に自身の荷を置いてこい。では、解散とする」  全員が紙の方に密集していく。流石に、あの人混みに入っていく気はないので、待つことおよそ5分。  人も十数人にまで減ったので、そろそろ行こうと思う。では、始めよう。「岸本優(きしもとゆう)」という文字を探すだけだ!  結局、3分ほどかかって自分の名前を探し出し、自分の部屋へと向かう。ラストの人間になってしまったようだ!誰だ、漢字なんて作ったやつは!  ところで、一部屋に2人なので、同居人というものが存在する。良いやつだったら良いなぁ。  あ、本当にところでなのだが、先輩というものは存在しない。なぜなら、2浪目(落ちこぼれ)を入れる年、入れない年、入れない年の3年でのサイクルが、各場所で存在するからだ。まぁ、それは、軍学校内での話で、一応あのおっさんは先輩…OB?にあたる存在となる。  っと。そんなことを考えている間に着いた。4階の9部屋目なので、四〇九号室だ。ちょっと不気味。  ガチャリ。扉を開けると、そこは… 「結構広いな、おい!」 「そ、そうですよね…」   部屋の配置は早く覚えた方が良いかな?。入ってすぐ右側に洗面所とトイレか。あ、シャワー室もちゃんとある。奥の部屋にはベッドが2つ。それだけかな?とりあえずベッドに荷物を置きに行こう… 「うおっ‼︎」  びっくりした。人がいた。 「〜〜〜‼︎」  ビビらせてしまったか…。  茶髪でクリクリとした茶色の目、それにこいつ…ちっこい。率直に言おう、チビだ。そして中性的な顔の、可愛い系の男…男子だ。俺にそういう趣味はないが…女にかわいがられそう(色んなことをされそう)なやつだ。 「えっと、あの…」 「ん、なんだ?」 「これから3年間、よろしくお願いします、岸本さん」 「おう、よろしく」  岸本、か…慣れないな。  あれ?なんで名前を…部屋割りの紙で名前を見たのか。こいつの名前は…見てなかったな。 「ご存知のようだが、俺の名前は岸本優だ。趣味は睡眠とボードゲーム。そっちの名前は?」 「あっ、すみません。自己紹介もせずに。僕の名前は小戸実仁(ことみに)です。趣味は…特に無いですね。空を見るのは好きですが」  ミニ君か…。 「よろしくな、ミニっ…小戸さん」 「……………」 「……………」  ちょっと、かなり、いや、めちゃくちゃ気まずい。 「ミニって呼んでくれても良いですよっ…。ずっとそう呼ばれているので!」  自棄になったな。まぁ、本人が良いって言ったことには変わりない。そう呼ばせてもらおう。 「お父さんは190超えてて、お母さんは180超えているのに…」  えっ?ミニって、150くらいだよな?ガチか…。 「きっと僕は養子なんだ…棄子(捨て子)なんだ…」  もうそろそろ1人の世界から抜け出してもらおう。 「おーい、ミニ?」 「えっ、あっ、なんですか?」 「改めてよろしくな、ミニ」 「結局……」  うん、もちろん結局はミニと呼ぶよ。ミニのインパクトが強すぎて。 「こちらこそよろしくお願いします、岸本さん」 「あぁ……」  やっぱり、岸本と呼ばれるのは慣れない。 「優って呼んでくれ」 「わ、分かりました。じゃあ僕は、教官に呼ばれているので、ちょっと出かけてきますね」 「おう、行ってらっしゃい」 出る時の邪魔にならないように、洗面所のところまで戻った。 「じゃあな。食堂集合に遅れるなよ」 「はい」  ガチャリ。バタン。  うーん。ただいま絶賛ボッチ中。まぁ、とりあえずベッドでゴロゴロ…やっぱりテレビあるし…。テレビあるじゃん!死角になってて見えなかった…。  じゃ、テレビ見とこ。
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