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支払いを済ませたあと、陽彩へと近づき、「あのさ」とまた話しかけた。
「今日、廊下で話し込んでた友達って、二宮 聡か?」
「そうだよ。ちゃんと話し合って、告白も断った。前みたいな友達関係は無理だけど。それなりに上手くいくといいなって、思ってる」
「……そっか」
「あ! あと。聡くんが謝っててって言ってたよ。この間、良倉さんに酷いこと言っちゃったからって」
ふぅん、と呟き、良倉は気のない様子で館内案内図を眺めた。
「五階にレストランあるって。ヒーロー、お腹すいたでしょ、なにか食べてく?」
そう言われて、また腹部を押さえた。キュルルと音が鳴り、良倉が「行くか」と言って踵を返した。
まるでデートのような構図で二人掛けのテーブル席に座り、運ばれてきた料理に手を付けた。頼んだ和食を良倉が先に食べ終え、テーブルにスマホを置いた。
「ひとまずはラインを交換しておこう。その方が確実に返事を返せるから」
陽彩のメールを無視してしまったのを、彼なりに反省しているようで、陽彩は喜んでその提案を受け入れた。良倉のQRコードを読み込み、アドレスが加わると、すかさずスタンプを送りつけた。良倉のアイコンは水族館かどこかで撮ったような海月の写真だった。
「海月とか可愛い」と言ってからかうと、「好きだから」とすぐに返事がある。
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