絞り椿となりて永遠に咲く

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 川崎、鐘崎組――。 「そんじゃちょっくら行って来るわ! 帰りは夕方になるけど留守番頼むなぁ」  紫月が側付きの春日野を連れて笑顔を見せる。源次郎は玄関先まで見送りに出て手を振っていた。 「ご苦労様です。お気をつけて。春日野君、姐さんを頼んだよ」 「はい! お任せください」  今日は駅前の商店街で藤祭りと称したイベントの飾り付けがあり、自治会をあげて手伝いに行くことになっているのだ。各町内から屋台なども出る為、丸一日かけてテントを組み上げたりと大忙しなのだ。紫月もまた、お馴染みの川久保老人ら自治会のメンバーたちと共に手伝いに向かうというわけだった。  鐘崎はそれより十分程前に幹部の清水と共に依頼の仕事に出て行ったので、亭主を送り出すと同時に紫月もまた現場へと向かったのだった。  駅前に着くとちょうど川久保老人らもやって来たところだった。 「紫月ちゃん、おはよう! 朝早くからすまんねー」 「おはよ、じいちゃん! じいちゃんたちこそ駆り出しちまって悪ィな!」  本来は自分たち若者が先頭だってやらなければならないのにと、紫月は老人たちを労う。 「いやいや、これも健康の為さね!」  川久保老人らにしてみれば、紫月のそういった心遣いの方が身に染みるといった調子で、元気の源になっているそうだ。  和気藹々、他の町内会の役員たちも続々と集まって来て、皆張り切って祭りの準備に精を出し合っていった。  昼食は商店街の老舗店から弁当が配られて、楽しい会話と共に皆で平らげた。そろそろ作業の続きに掛かろうかと立ち上がった時だった。
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