絞り椿となりて永遠に咲く

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「あの……! 一之宮さんじゃないですか? 一之宮……紫月さんですよね?」  男に声を掛けられて振り返ると、そこには懐かしい顔の青年が逸ったように頬を紅潮させながらこちらへと近付いて来るのが分かった。 「……? あれぇ? お前さん確か……剣道部の」 「はい! 三春谷(みはるや)です!」 「あー、そうそう! 三春谷か! 久しぶりだなぁ! 卒業以来だべ?」 「お、覚えていてくださって……うれしいっス!」  三春谷と名乗った男は言葉通り本当にうれしさあふれんばかりといった顔つきで、瞳を輝かせながら声を弾ませた。  この三春谷というのは高校時代紫月の一学年下の後輩だった男だ。剣道部に所属していて、副主将を務めていたこともあり、何かにつけて道場の息子である紫月のクラスへと顔を出しては、交流のあった仲だった。 「いや、マジ懐かしいなぁ。何年ぶりだべ?」 「紫月さんたちが卒業して以来ですから……十……えっと三年? いや、十四年かな?」 「おー、もうそんなんなるか! 元気そうで何より!」 「紫月さんこそ……。その、変わってないっスね。特にその――何々だべっていう話し方! それ聞いた途端に高校時代に戻っちゃった気がしましたよ!」  三春谷はうれしそうに頭を掻きながら頬を染めた。
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