絞り椿となりて永遠に咲く

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「三春谷から? あー、そう。やっぱ社交辞令じゃなかったってことか」  話を聞いて紫月もまた、やれやれと思いつつも後輩の結婚祝いとなれば無碍に断るのもどうかと思う。この際、地元の友人たちにも声を掛けて何人かで祝おうかと提案したものの、三春谷は二人だけで飲みに行きたいと希望した。鐘崎はこのところ依頼の仕事で出ずっ張りなので都合をつけるのは難しそうだ。だったら道場の師範で高校時代から幾度か顔を合わせてもいたしということで、父の飛燕と綾乃木も一緒でどうだとも訊いたのだが、それもあまり乗り気でない様子だった。仕方なく二人で会うことを承諾するしかなかった。 「場所は駅前の居酒屋にした。銀ちゃんの店。あそこだったらスタッフも皆んな顔見知りだしさ、要らぬ噂になることもねえべ?」  銀ちゃんの店というのは鐘崎組の古くからの知り合いで、夜の繁華街見回りなどでも貢献している相手だ。居酒屋の他にもゲイバーなども経営していて、オーナーの銀ちゃんは僚一の高校時代の後輩。信用のおける男だ。 「銀さんのところなら安心だろう。橘と春日野に言って、席は別にして護衛がてら一緒に行ってくれるよう頼んでおく」  鐘崎の理解と心遣いを有り難く思う紫月だった。  そうして飲み会の日がやってきた。  居酒屋には鐘崎からも事前に事情を話していてくれたので、銀ちゃんことオーナー自らが迎えてくれた。橘と春日野も紫月らとは背中合わせの席に陣取ってくれて、警護の準備は万端だ。むろん、彼らが組員で警護としてついて来ていることは当の三春谷には内緒である。  乾杯後、しばらくは高校時代の懐かしい話題などで適当に過ごした。
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