絞り椿となりて永遠に咲く

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 鐘崎は少し歩いた先の路地裏で静かに三春谷を振り返った。何気ないその一挙手一投足に三春谷の視線が泳ぐ。人の目の届かないこんな場所だ、まさかとは思うがいきなり殴られたり、はたまた刃物でも突き付けられたりしやしないかと焦る想像が心拍数を上げる。所詮はヤクザのすることだ、そういうことも有り得なくはないだろうと身構えながらも、三春谷は逃げ腰のまま声を裏返して叫んだ。 「……あんた……ッ、何でここへ……! 俺をどうするつもりだよ……ッ」 「モノを尋ねたいのは俺の方だな」  落ち着いた感じの応答に、今すぐ殴られるとか刺されるとかいった雰囲気は感じられないことを悟ってホッと肩の力が抜ける。 「……尋ねるって……。俺に何を訊きたいんスか……?」 「三春谷――だったな。てめえが結婚前に誰と遊ぼうが婚約者を不幸にしようが、それ自体に節介する気はねえ。だが、その相手に紫月を巻き込もうというなら別だ」 「……ッ、巻き込むって……。まさか盗聴してたスか?」  店内での会話がすべて筒抜けているような鐘崎の苦言に驚きを隠せない。
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