第二十章 遊ぼうぜ 五

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「…………俺はバカだ……」 「いや、直情的で単純」  でも、銀河が助かったと知り、少し安心した。 「俺と珠緒ちゃんの細胞か……」 「どちらも、単体で使用すると猛毒になる」  だから、猛毒を猛毒で制御し、むしろ普通になったという。 「…………これも、話の一部だったのかもな……」 「作られたストーリーという事か?」  それは否定したいが、本村を知っている俺ならば分かる。英トは、まんまと俺の新しいダミーを作らされたのだ。 「本村…………」  どこまでが操作で、どこに本音があるのか、もう俺には分からないのだろうか。今度は裏社会の俺が死に、代わりに銀河の死体を置いてゆけという事だとしたら、俺はどこに行ったらいいのだろう。  俺が瓦礫の上に座ると、三毛が眠っているのが見えた。 「……夏目、これから、どうする?」 「どうしようかな……」  それでも、もう通常社会には戻れない感じがする。  俺が戻ったら、遺体は何だという事になるし、遺体の説明をすれば、年年歳歳に迷惑を掛けてしまう。  それに、いずれは地下社会に戻ろうと思っていた。 「地下社会に戻ろうかな……」 「夏目。俺の依頼は生きている。珠緒を守って欲しい」  しかし、もう英トの影武者という立場は不味いだろう。すると、英トは四乃守の養子でいいと言ってきた。 「本村家の養子だっただろう?まあ、それと同じだよ。俺も珠緒も、夏目を必要としている。特に、珠緒は狙われていて、我が家だけでは守り切れない」  珠緒が生まれた事により、四乃守に流れていた血脈が動き出している。そして、同時期に生まれて来ると宣言していた何かが、近づいてきているという。 「…………俺が長男?」 「末っ子」
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