第一章 Eight

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「……体内にビックバンか、ブラックホールでもあるのか?」 「どういう発想?でも、それもいいね。研究してみるよ」  英トは金属化も、進化なのだと言っていた。そして、進化とは遺伝子の一部で、既に決まっていた事だという。 「金属の生命体ならば、宇宙空間のような過酷な状況でも生き抜く事が出来る。未確認飛行物体、あれは、僕の兄弟のように思えるよ。生きた金属だ」  水銀の血を流す、生きた金属というものも先祖にはいたという。 「あ、到着したよ。この家を使っていい。それと、僕、五年も休んでいたので、編入試験が必要かも……」  給料は森宮が家に届けるらしい。その額を聞いてみると、かなりの高額だった。 「……それだけ、危険という事か……」 「それと、家の修復代金。直しながら住んでみて……」  俺が車から降りると、給料は家の修復代金だと分かった。 「これ?」 「そうだよ」  家と言っても、柱しかない。まずは、屋根を付けないと、雨が降ったら眠る場もない。 「……日曜大工が趣味になりそうだ……」  しかし、英トは俺の素性が気にならないのだろうか。追われていた子供に、どうして家や金を与えるのだろう。 「英トさん、追われていた理由を聞かないのですね」 「ああ、知っているから」  すると、英トは車に乗ったままで、俺に端末の画面を見せてくれた。 「殺人犯……それと、横領とスパイ行為と、妨害行為や爆破……沢山あるね……」 「それで、どうして雇ったのですか?」  知っていたのならば、とても謎だ。
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