第二十章 遊ぼうぜ 五

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 その辺は、俺にはさっぱり分からない。 「それで、銀河だけど、そもそも銀河の脳は、生まれた時から壊れていて、肉体の制御ができなかった。それは、今も変わらない」  ここで重要な事は、銀河は基本的には、鉄雄の弟で、同じ両親の遺伝子を持っている。だが、追加された遺伝子もあったという事だ。そして、この追加というのが厄介で、既存の遺伝子を破壊した。そして、千切れて彷徨い、他の遺伝子に付着し、死滅させた。 「…………いや大丈夫だろう……今までも生きていた……」 「だから、最低限しか動けなかった」  そして、銀河を普通に動けるようにするには、珠緒の細胞を使用する事が有効らしい。でも、それでは、やや人間と離れた存在になってしまう。 「まあ、俺が夏目の臓器を実験に使用していたように、銀河は夏目の細胞も使用していた……」  だから、姿も俺に似てきていたという。 「ここを、ドンピシャで狙った。ここには、生きた夏目の細胞があった。そして、夏目に似た感じの姿もあった」 「狙うのならば、俺だけでいいでしょう?」  しかし、俺の姿はサルで、しかも特別教室は外部からの直接通信を遮断していた。 「夏目を狙った。もしくは、夏目の代わりに犠牲になった。その事実が作れればいい……」  それは、先程の本村に戻るが、俺の性格からすると、隠れていても動き出す状況になる。 「まあ、それで、ここに来たのは、あれこれの事実認識と、珠緒と夏目の細胞を混ぜて、銀河のボディを作ってみた」 「そんな実験みたいなことを……」  そして、今、銀河に繋げているという。 「え、もしかして、これも俺の足止め?陽動だったのか???」 「そういう事かな。もう繋がったから、切り離すと危険だよ」  俺は、感情で動いてしまう面が多いと、あちこちから指摘されていた。その欠点が、ここで大きく出てきてしまい、見事に陽動に乗ってしまった。
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