82人が本棚に入れています
本棚に追加
/200ページ
「…………俺はバカだ……」
「いや、直情的で単純」
でも、銀河が助かったと知り、少し安心した。
「俺と珠緒ちゃんの細胞か……」
「どちらも、単体で使用すると猛毒になる」
だから、猛毒を猛毒で制御し、むしろ普通になったという。
「…………これも、話の一部だったのかもな……」
「作られたストーリーという事か?」
それは否定したいが、本村を知っている俺ならば分かる。英トは、まんまと俺の新しいダミーを作らされたのだ。
「本村…………」
どこまでが操作で、どこに本音があるのか、もう俺には分からないのだろうか。今度は裏社会の俺が死に、代わりに銀河の死体を置いてゆけという事だとしたら、俺はどこに行ったらいいのだろう。
俺が瓦礫の上に座ると、三毛が眠っているのが見えた。
「……夏目、これから、どうする?」
「どうしようかな……」
それでも、もう通常社会には戻れない感じがする。
俺が戻ったら、遺体は何だという事になるし、遺体の説明をすれば、年年歳歳に迷惑を掛けてしまう。
それに、いずれは地下社会に戻ろうと思っていた。
「地下社会に戻ろうかな……」
「夏目。俺の依頼は生きている。珠緒を守って欲しい」
しかし、もう英トの影武者という立場は不味いだろう。すると、英トは四乃守の養子でいいと言ってきた。
「本村家の養子だっただろう?まあ、それと同じだよ。俺も珠緒も、夏目を必要としている。特に、珠緒は狙われていて、我が家だけでは守り切れない」
珠緒が生まれた事により、四乃守に流れていた血脈が動き出している。そして、同時期に生まれて来ると宣言していた何かが、近づいてきているという。
「…………俺が長男?」
「末っ子」
最初のコメントを投稿しよう!