第一章 Eight

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 今は緊急事態で、本村の背にある扉は、開いたまま空を見せていた。俺は愛用の銃を構えると、ヘッドホンを外した。 「さよなら、本村……」  この銃音は、心の中に永遠に残しておきたい。 「さよなら、俺の愛した人……」  そして、俺は本村の心臓を撃ち抜くと、ほぼ同時に頭も撃ち抜いた。 「夏目さん!!!何をしているのですか!!!」  そして、ヘリコプターを操縦している西海は、気配を察して叫んでいた。  本村は、俺の目にはゆっくりと、だが確実に後ろへと倒れてゆき、轟音の中で青い空の中に消えた。そして、本村を追い掛けるように、俺はパラシュートを付けずに、空へと飛びこんだ。 「本村さん!!!」  俺が本村の姿を探すと、かなり下方を落ちていた。俺のウエイトでは、本村に追いつけない。 「夏目さん!!!!!!!」  西海の絶叫を聞きながら、俺は本村のいる地上へと落下した。
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