禁断の惑星

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       *     *      *    宇宙船は地表に向かって落下して行く。  救難信号を発信する。この付近には、連邦保安局のパトロール艇が巡回しているはずだから、受信してくれることを期待する。もちろん救助されれば、逮捕されて刑務所行きだが、命には代えられない。  主エンジンが壊れたため、逆噴射による軟着陸はできない。幸い補助エンジンは無事だったので、胴体着陸を試みる。  積み荷は捨てることにした。着陸の衝撃で荷崩れを起こした荷物が、船体を傷つけるのを防ぐためだ。それと、船体を軽くして推力を上げるためだ。荷主に損害賠償を請求されるだろうが、この際背に腹は代えられない。  補助エンジンの起動ボタンを押した。モニターがエンジン起動を告げる。船体が水平になるように機首を上げる。そのまま高度を落としていく。  衝撃を感じた。宇宙船が惑星ソラに着地したのだ。船体が激しく振動する。船体が地面を削り取りながら地表を滑っているのだ。  コックピットの前方に巨岩が見えた。このまま進めば正面衝突して、コックピットはぺちゃんこだ。ユーマはサンドイッチを覚悟した。しかし、直後、船体が傾いで進路が右にそれた。小さな岩にでも乗り上げたか。  進路がそれたため、正面衝突は避けられたが、左舷の壁が岩に接触した。船体が岩を擦りながら進む。衝撃とともに剥がれた壁や計器の破片が、ユーマに向かって飛んで来た。  岩と接触してから暫くそのまま進んで、宇宙船は停止した。サンドイッチに成らずに済んだ。でも、体のあちこちが痛い。特に頭が痛い。いつの間にか、   被っていたはずのヘルメットがなかった。頭を何かにぶつけたようだ。  大きく裂けた宇宙船の壁越しに外が見えた。霧が立ち込めている。その霧が壁の裂け目から船内に入って来る。  しだいに意識が遠のいていった。
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